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黒い巨塔

 友人が日本経済新聞の本の広告欄の切り抜きを見せて「この本読んだら、信用できるものが無くなった」と話しました。それは「黒い巨塔」というタイトルの小説でした。

 山崎豊子さんが1965年に書いた「白い巨塔」という小説は、大学の医学界の腐敗を追及したもので映画では観ていましたが、この「黒い巨塔」は最高裁判所の内幕を書いたものです。

 著者は瀬木比呂志さんという方で、本の帯には「いま初めて暴かれる最高裁の闇! 第二回城山三郎賞受賞作家にして最高裁中枢を知る元エリート裁判官が描く本格的権力小説!」とあります。発行日は昨年10月27日ですから、まだまだホカホカの作品です。

 さっそく購入して読み始めました。だいたい本というのは特に終盤になると、早く読み終えたいという気持ちになるのですが、この作品は終盤になってから特に「気になるけど、しかしすぐに知りたくない」という気持ちが強くなりました。

 改めて最高裁が時の政府の意向に反発しない・出来ない、権力機関だということを実感させられました。本の内容を少し知っていただくために、帯の反対側に書いてある部分を、少し長いのですが紹介したいと思います。

 「原発は止めん。それがわしの意思だ!!」最高裁に君臨する歴代最高の権力者にして「超」エリートの須田謙造最高裁長官。司法権力躍進のために手段を選ばぬ須田は、頻発する原発訴訟で電力会社に有利な判決を出すよう、事務総局を通じて裁判官たちを強引にあやつる。徹底的な信賞必罰による人事統制に恐れをなす司法エリートたちは、誰一人須田にさからえない。ソ連の強制収容所を彷彿とさせる思想統制に違和感を覚える民事局付の笹原駿は、図らずも須田と対峙する道を選ぶ。最高裁中枢を知る元エリート裁判官が描く、あまりにもリアルな、司法荒廃と崩壊の黙示録! とあります。

 この小説の舞台になっている時は、「3・11」より以前になっています。だけど猛烈に「3・11」を意識して書いています。

 裁判官の独立という憲法の規定は、「すべての裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される」というものです。

 とはいえ裁判をやる裁判官も人の子、出世志向の強い人は時の権力に反するような判決は書けないのでしょう。国の意向を踏んで原発反対の判決を出すなという長官の意向を踏んでいる局長レベルの人間に対して、これに挑戦する主人公が会議の中で正々堂々と自論を展開し議論する場面は、まさに圧巻で僕の身体も凍りました。

 弁護士をやっている友人が、「最終的に裁判で原発を止めようというのは今の制度では無理だよねえー」と話していました。それはそうだとしても、否、そうだからこそ、地裁などの下級審で再稼働を止めさせた裁判官に対し本当に頭が下がります。是非ともお薦めの小説作品だと思いました。

 明日から3日間、青森県六ヶ所村に行ってきます。なんと明日から相当寒くなるようですね。寒さの中の六ヶ所村も興味深いです。


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