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一人息子

 小津映画の中で、「一人息子」というのがあります。小津作品は親子、夫婦、兄弟姉妹、親類縁者などの関係を扱ったものが多く、大好きなものです。この「一人息子」というのは、戦後のまもない時代が舞台です。

 長野県の田舎に住む夫を亡くした母親が、紡績工場で働きながら一人息子を育てていくところから始まります。
 生活苦のため、母は息子に対して「中学校なんか行くことはない」と言いながら、勝手に中学進学を決めた息子。やがて、息子も大人になって東京で仕事をしています。母が長野の田舎から息子を訪ねると、母に内緒で結婚をして、子どもまでいるという現実。市役所に勤めていると聞いていたようですが、息子は夜学の教師。やっとこさ生活が出来る程度の息子の家に、しばらくやっかいになります。エエかっこをしたい息子は、同僚にお金を借りたり、妻は着物を質に入れて母親を接待します。近所に住む人たちも同じように貧乏な暮らしをしています。そんな中、ある事故が起こります。質屋から借りたお金を、息子は事故で怪我をした近所の人に渡します。その事を知って、母親が「東京のどこに連れて行ってもらうより、良いお土産になった」と語り、息子も「よーし、僕も勉強して頑張るぞ!」と決意をして映画は終わるのです。

 母親役は飯田蝶子、大人になっての息子役は大坂司郎が演じています。とても味のある名演技です。

 この映画の冒頭に出てくる字幕の言葉を、急いでメモしました。
 「人生の悲劇の第一幕は、親子になったことにはじまっている」というものです。「子ばなれできない親、親ばなれできない子ども」ということが、言われます。「子離れ、親離れのすすめ-親と子の自立心を養うために」という本もどこかの古本屋さんで見かけてことがありました。
子離れ親離れがなるべく早く進むというのが、あるべき姿だとは思いますが、しかし、子どもも親も、隣り近所の付き合いや相互の援助が少なくなった状況の中では、親と子どものつながりが強くなるのは、仕方がないと思います。もう少し近所付き合いや、地域社会の中でみんなが育てられていく状況が強まれば、子離れも親離れもスムーズに進むと思うのですが。

 田口ランディさんの著書で「鳥はみずからの力だけでは飛べない」というのがあります。ランディさんが、ひきこもり生活をしている少年・一穂に書いた10通の手紙で構成されています。
なぜ学校へ行かなければならないのだろう?大人になるってどういうこと?生きることにどんな意味がある?

 「考えてみて。
これまでに、一穂より先にたくさんの人が死んだ。
同じ年に生まれた人だって、
もう死んだ人たちはいっぱいいるはずだ。
それでも一穂は生きている。そのことを想ってみて。
いま、生きている。
世界にどんなにたくさんの死があっても、自分はいま生きている。
そのことを、想ってみて。
そして、生きることへの、欲望の火を灯して」

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